テープ起こしをするときに知っておきたい基本ルールを解説します。
テープ起こしを依頼されたらまず何をすればいいでしょうか?
3種類の起こし方とは?
聞き取れないときにはどうしたらいい?
目的に合ったテープ起こしをするために、まずルールを確認しておきましょう。
テープ起こしとは?
テープ起こしとは、会話やスピーチを録音したものを聞き取り、文字に書き起こすことです。文字起こしともいいます。
今はICレコーダーなどで録音して音声データにするのが主流ですが、以前はテープレコーダーで録音していたため、テープ起こしと呼ばれています。
テープ起こしをすると、会話などの発言を細部まで正確に記録することができます。
起こし方のルール
テープ起こしをするときはまず「どのような起こし方をするか」を確認する必要があります。
起こし方とは音声を文字にするときの加工方法のようなものです。
テープ起こしには以下3種類の起こし方があります。
使用用途によって起こし方が異なるので、依頼者に必ず確認してください。
起こし方①素起こし
話し言葉には「あのー」「えー」などの間投詞や語尾の「ね」「よ」など、意味を持たない言葉が含まれています。(テープ起こしではケバと呼ばれます)
このケバも全部書き起こすのが素起こしです。逐語記録・逐語起こしとも呼ばれます。沈黙している間の秒数を記録する場合もあります。
例「えーと、そのときはね、もうパンダが見れるってだけで大興奮で。」
口調や細かな内容まで正確に記録できるので、会話や言葉のニュアンスが重要な場面では素起こしを使います。
一方で、話し言葉そのままなので読むには冗長です。
素起こしの主な用途
・裁判所に音声データの内容を証拠で提出
・カウンセラーやキャリアコンサルタントなどの面談の振り返り
・会話分析などの研究用
・カスタマーサービスの電話対応でサービス内容を検証
・商品開発でグループインタビューを分析
起こし方②ケバ取り
「あのー」「~ね」などの意味を持たない言葉=ケバを消して、それ以外を文字に起こすのがケバ取りです。
例「そのときはもうパンダが見れるってだけで大興奮で。」
だいぶすっきりして読みやすくなりました。素起こしに比べると口調が再現されませんが、まだ臨場感が残っています。
読みやすい口語体にするときにケバ取りが使われます。
ケバ取りの主な用途
・インタビュー記事の作成
・講演・スピーチの記録
起こし方③整文
ケバ取りをして、さらに書き言葉に変換するのが整文です。
ですます調など指定の文体に整え、適宜補足して、正しい表現に修正します。
例「そのときはもうパンダが見られるというだけで大興奮でした。」
読んで理解しやすい文章になりました。反面、口調はすっかり消えています。
読むための書き言葉にするときに整文が使われます。
若干書き換えも行うので、その際に元の発言とニュアンスが変わらないように注意が必要です。
整文の主な用途
・会議の議事録の作成
・講義のノート
聞き取れないときのルール
録音を何度聞いても言葉が聞き取れないことがあります。
音声の再生スピードを調整したり、音声編集ソフトでノイズを除去したりしても聞き取れないときには、後で確認できるように明記するのがルールです。
以下が書き方の一例ですが、指定があればそちらに従ってください。
聞き取れないところはカタカナで
全く聞き取れなかった音は●などの記号で表記し、意味が分からない音はカタカナで表記します。
勝手に省略したり、決めつけたりするのは厳禁です。テープ起こしで重要な正確さが失われてしまいます。
特に専門用語や固有名詞に注意。インターネットなどで調べて正確に表記しましょう。
タイムコードを入れる
後で確認するために、不明箇所にはタイムコード(経過時間)を記しておきましょう。
例えば不明箇所が開始から1時間5分10秒後なら「だから●●(@01:05:10)でしょう」のように表記します。
文章のルール
テープ起こしでは文章のルールも重要です。
特に整文では文章の間違いも修正するので、ら抜き言葉や慣用句の誤用などに注意し、正しい文章に仕上げる必要があります。
依頼者から仕様(ルール)が提示されている場合には、必ず仕様を順守してください。
ですます調などの文体やフォーマットは事前に確認するといいでしょう。
ルールを守ってテープ起こし
テープ起こしをするときの基本ルールには、3種類の起こし方と、聞き取れないときのルール、文章のルールがあります。
初めによく確認することで、目的に合った正確なテープ起こしができるとともに、後から修正で何度も聞き直すことがなくなり効率が上がります。
テープ起こしを依頼されたら、一般的な仕事のルールも確認しておきましょう。納期は厳守。仕事で知った秘密は口外しない。完成したらもう一度最終チェックをして提出します。
テープ起こしの時間や手間を節約するなら、自動文字起こしを使うという方法があります。音声データからAIが自動でテープ起こしをします。
「SACSCRIBE(サクスクライブ)」はクラウド型の文字起こしサービスです。音声から自動でテープ起こしができ、そのままSACSCRIBE上で編集・校正が可能です。
自動文字起こしは音声をそのまま文字に変換するので句読点なしのものも多いですが、SACSCRIBEでは句読点が自動で付くので、その後の作業が簡単になります。
自動文字起こしで省力化し、修正や文章の校正に注力するのはいかがでしょうか。