取材相手に対面して話を聞くインタビュー記事には、他の形式の記事には無い臨場感や説得力があります。一方で、ライターの書き方次第でクオリティが大きく変わってしまうため、難易度の高い記事形式の一つでもあります。
この記事では、高品質なインタビュー記事を書けるように、記事作成の流れや注意点などについて解説します。
インタビュー記事の役割や目的とは?
Webに掲載される記事には、インタビュー記事の他にも、ニュース記事や解説記事、アフィリエイト記事など多くの種類があります。初めに、そんな数ある記事タイプの中で、あえてインタビュー記事を作る目的は何なのか、インタビュー記事が果たす役割とは何なのかについて簡単に解説します。
商品やサービスの販促・成約率向上のため
商品やサービスの専門家や開発責任者、またその商品を利用したユーザーに話を聞くことで、購入を検討している読者に対して商品への理解を深め、決断の後押しをすることができます。
新商品や新サービスのリリース前に開発責任者の声を掲載することで、それを心待ちにしているユーザーの興味をかきたてることができます。
また、特にユーザーへのインタビューは、実際に使用者の声として信ぴょう性があり、読む人も自分に置き換えて検討しやすくなるというメリットがあります。
一般消費者向けのインタビュー記事ももちろん数多くありますが、企業向けのインタビュー記事も、「導入事例」としてとても有用です。企業が導入する製品やサービスは高額になるケースが多く、少しでも多く情報を集めて検討を繰り返すため、同業他社の導入事例などは参考になる確率が高くなります。
採用のための社員紹介
企業の求人への応募を検討している求職者は、その企業の情報をネットで集めて「どのような会社か」「働きやすい環境か」を調べます。そんな時に双方にメリットがあるのが、実際にその会社で働いている人、従業員の生の声を伝えるインタビュー記事です。
この場合のコツとしては、無難すぎて味気ない内容よりも、その従業員の人柄や職場の雰囲気がリアルに伝わるような、「その人自身の声」をしっかりと伝えることです。良い面だけでなく改善点も率直に語ってもらうことで、開放的な雰囲気が伝わり、入社後のミスマッチを減らすことにもつながります。
インタビュー記事の書き方は3パターン
インタビュー記事には大きく分けて3つのパターンがあり、掲載先のテイストやインタビューの目的・内容によって使い分けます。
1つずつ見ていきましょう。
Q&A形式
インタビュー記事の基本となる形が「Q&A形式」です。
Q&A形式はインタビュアーが質問して、インタビュイー(インタビュー相手)が答えるというシンプルな構造です。
インタビュアーの言葉も残して伝える必要がある場合にこの形式は便利です。
難点としては、文章量が多くなってしまう傾向にあるので、全体のボリュームに注意しながら調整する必要があります。
(Q&A形式の例)
Q:お休みの日は何をされていますか?
A:公園に散歩に行ったり、映画を観にいったりします。
Q:どのような映画がお好きですか?
A:いろいろなジャンルの映画を見ますが、特に歴史ものが好きですね。
モノローグ(一人称)形式
モノローグ形式とは、インタビュイーが一人で語っているように記事をまとめる方法です。
モノローグ記事では余計な要素が入りづらいため、インタビュイーの思考や発言をダイレクトに伝えたい時に便利な形式です。
インタビュイーが饒舌で、その言葉にインパクトがある場合はこの形式を採用すると良いでしょう。
ただし、語尾が単調になる、インタビュー時の雰囲気が伝わりにくいなどの難しさもあり、総じてライターの技量次第で出来不出来が大きく変わってしまうため、初心者が手を出すのは敷居が高いかもしれません。
(モノローグ(一人称)形式の例)
仕事が休みの日は、公園に行ったり映画を観に行ったりしていますね。映画はいろいろなジャンルを見ますよ。特に好きなのは歴史ものですかね。
ルポ(三人称)形式
ルポ形式は、第三者の視点からインタビュイーについて語る方法です。
第三者の視点なので、事実を客観的に伝えられるというメリットがあります。また、論理立てて流れを作れるので、すっきりとした読みやすい文章の作成が可能です。
インタビュアーが自分の視点で記事を作成できるため、Q&A形式と並んで初心者でも手を出しやすい方法といえるでしょう。
ただし、作者が自分を出しすぎると、インタビュイーの印象が薄まり、ひとりよがりな文章になって読者の共感を得られないこともあるため注意が必要です。
(ルポ形式の例)
休みの日になると彼は公園や映画館に行ってゆっくり過ごすことが多い。映画はさまざまなジャンルを観るが、特に好きなのは歴史ものだ。
インタビュー記事の書き方の流れ
続いて、実際のインタビュー記事の書き方、インタビュー記事作成の流れについて解説します。
文字起こしをする
まずは、インタビュー時に録音した音声データの文字起こしを行います。
文字起こしをせずメモや記憶だけを頼りに記事を書く人もいますが、肝心なことを書き忘れたり聞き間違えたりすることもあるので、慣れないうちはしっかり文字起こししてから書き始めるようにしましょう。
記事のテーマ・構成を設定する
文字起こしが完了したら、記事を書き始める前にテーマを設定します。
テーマを設定しないとゴールを決めずに登山をするようなもので、記事の内容に一貫性が無くなり読者が迷子になってしまいがちです。
文字起こししたテキストに目を通して、どの切り口から何をメインに伝えるのか考えましょう。
慣れてくるとインタビュー時に話の要点=テーマをつかみ、それを引き立てるための記事構成を考えられるようになり、質問内容をリアルタイムで柔軟に変えることもできるようになります。
注意点としては、インタビュー前にテーマや構成を固めすぎてしまうと、予定調和的で面白みのない記事になってしまうため、実際に相手の話を聞いてテーマを感じ取り、最良の構成を練り上げるようにしましょう。
中見出しを決める
中見出しは記事の骨格となるものです。テーマや構成から導き出される中見出しを、初めのうちはアバウトで構いませんので決めていきましょう。
執筆をする
設定したテーマと構成に沿って執筆を進めます。
中見出しを作成する際に、箇条書きで内容のメモなど作っておくと執筆が楽になります。
推敲・校正
執筆が完了したら、以下の項目を確認しながら推敲・校正を行います。
・理解しにくい箇所は無いか
・誤字、脱字、文法の誤りが無いか
・差別的な発言など炎上する要素は無いか
記事作成の直後だと客観的なチェックが難しい場合もあります。そんな時はしばらく時間を空けて、他のことをするなどして気持ちを切り替えてから改めて読み直すことをおすすめします。
インタビュイーのチェック
インタビュー記事をWebサイト等にアップする前に、必ずインタビュイーにチェックをしてもらいましょう。
チェックの結果、修正の依頼が入ったらインタビュイーの意向に沿うように書き直しましょう。
インタビュー記事の書き方 3つのポイント
インタビュー記事を上手に執筆する3つのポイントについて解説をします。
記載する情報を選別する
インタビューの内容が面白かった時などは特に、できるだけ多くの要素を記事にしたいと思ってしまいがちですが、必要以上に長くなったり、まとまりのない記事になったりすることは避けなければなりません。
あくまでも読者目線で、情報の取捨選択を行いましょう。
流れを意識する
インタビュー記事をどのような展開にするかは、ライターの裁量にかかっており、腕の見せどころともいえます。インタビュー時の時系列のまま載せるというのも手法としてはありですが、それではやはり読み物として面白くありません。
基本的な流れは、ライティングの基本ではありますが、やはり「起承転結」です。読み手にとっても慣れた流れで読みやすくなるでしょう。
またWeb上の文章は、離脱されやすいという特徴があるため、紙媒体とは作り方が異なるのが一般的です。PREP法と呼ばれる、結論→理由→具体例→結論、という構成も多く使われます。最初に結論(もしくはその一端)を見せて、読者の興味を引くのが狙いです。
スムーズで飽きのこない流れを意識し、読者が「つい最後まで読んでしまった」という状況を作りだせるようにしましょう。
事前に文字起こしをする
よほど慣れた人でもない限り、インタビュー記事を作成する際は、必ず事前に文字起こしをするようにしましょう。文字起こしをすることによりインタビュー内容を再確認できるため、構成を詰める助けにもなります。
しかし文字起こしは、インタビューの長い音声データを最初から聞いて文字に変換していく必要があるため、とても時間がかかる作業です。
できるだけ時間を有効に使いたいという場合は、自動文字起こしツールを利用すると便利です。
たとえば、クラウド上で利用できる「SACSCRIBE(サクスクライブ)」は、音声をアップロードするだけで自動で文字起こしが可能です。ツール上で編集・校正やデータ管理までできるので、不自然なところの調整は必要ですが、文字起こしにかかる時間を大幅に短縮できます。
初回は1時間分の文字起こしを無料で体験できますので、まずはお気軽に試してみてください。
インタビュー記事の書き方 5つの注意点
最後に、インタビュー記事を書く際にやってはいけないことなど、注意点について解説します。
話し言葉で記事を作成しない
インタビューは会話なので当然話し言葉を使います。しかし、インタビュー記事では、話し言葉ではなく書き言葉を使用するようにしましょう。
もちろん、まったく話し言葉を使ってはいけないわけではありません。話し言葉はインタビュイーの人柄を伝えやすいという利点もありますので、ところどころ発言内容をそのまま盛り込んでそうした効果を出すと良いでしょう。
要はバランスで、話し言葉が多いと稚拙な文章と思われてしまいがちですので、注意が必要です。
話し手の人柄が分かるようにする
どのような形式のインタビュー記事でも共通していえることですが、インタビュイーの人柄が分かるようにすると、親しみがもてる文章になります。
読者に人柄を伝えるには、趣味の話や仕事上のモットーなど、インタビュイーのオリジナルの考えが分かるような内容を適度に盛り込むことです。
誰が話しているのかを明確にする
記事の冒頭でインタビュイーの名前や経歴などを明らかにし、誰が話しているのかを読者が把握しやすいようにしましょう。
インタビュイーの客観的な情報が頭に入っていると、読者は記事に集中しやすく、内容を理解しやすくなるというメリットがあります。
記載する内容の取捨選択をする
先ほども触れましたが、インタビューの内容をすべて載せようとすると長くなり、内容も散漫になってしまいがちです。
記事に一本筋が通っていないと読み応えが無くなってしまいますので、テーマに照らして不要と判断できる部分は思い切ってカットするようにしましょう。
読みやすいように並び替え・補足をする
記載する内容を取捨選択したら、もう一度全体を読み直してみて、必要があれば内容の並び替えや補足の説明を入れましょう。書いている当人にとっては当たり前のことでも、読者にとっては意味がつながらない部分などを丁寧に修正します。
まとめ
インタビュー記事には、商品やサービスの販促や採用活動など、多くの役割があります。
インタビュー記事は、質問の仕方や記事の切り口によって文章の方向性や完成度が大きく変わるため、腕に覚えのあるライターにとってはやりがいのある仕事です。また興味のある人やこれまで縁のなかった世界に生きる人などに会って話を聞く機会は、自身の成長にとっても大いにプラスになるでしょう。ぜひ、機会があるようなら積極的にチャレンジしてみてください。
インタビュー記事の執筆に慣れていないうちは、書く前にしっかり文字起こしをして抜け漏れのないようにすることも大切です。時間のかかる文字起こし作業は自動文字起こしツールを使って時短・効率化を図りましょう。