会議の原稿や講演会の記録を残したいが、テープ起こしが面倒。どこかに外注したいが、料金相場がわからない。そうお悩みの企業は多いのではないでしょうか。
今回はテープ起こしの料金相場や、それぞれの方法のメリット・デメリットについて触れたいと思います。
テープ起こしを外注するとき必要な用語と資料
テープ起こしの外注方法や料金相場の前に、まずは外注するときに必要な用語や資料作りについて触れたいと思います。
素おこし・ケバ取り・整文
音源をテープ起こしで文章化する際、どの程度手を入れるかによって、読みやすさやかかる金額が変わってきます。
- 素おこし:話している言葉をそのまま書き起こす
- ケバ取り:「えーっと」などの無意味な発声を省く
- 整文:ケバ取りした文章に手を加え、読みやすくする
一般に素おこし・ケバ取りだと通常料金、整文になると追加料金がかかる場合が多いです。
整文は企業やオプションによっても度合いが異なります。あいまいな語尾を整える、話し言葉の無駄を省いてリライトする、口語を文語に直す、見出しをつけて読みやすくする、など仕上げに差が出るので、原稿の用途に応じて指定しましょう。
資料を作る
テープ起こしを外注するときは、参加者の名前や業界用語・専門用語の書かれた資料を添付すると、テープ起こしの精度を上げられます。
納品された原稿の人名・企業名の漢字が全て誤っていたりすれば、手直しに手間と時間がかかります。メモ書き程度で構わないので、資料を添付するとよいでしょう。
テープ起こし専門業者に依頼
まずは専門業者に依頼する場合について見てみます。
業者によって多少差はありますが、おおむね以下のような料金設定になっています。
料金相場
- 素おこし・ケバ取りで1分200円程度、または1文字1円程度
- 整文で別料金がかかる場合も
メリット
- ある程度の質が担保される
- 納期が保証される
- 大口の発注がしやすい
- セキュリティがしっかりしている
- 特殊な文章(法定提出書類、医薬・学術用文書など)に対応できる場合がある
専門業者ではテープ起こしに習熟した専門ライターを抱えていたり、ライターと編集者のダブルチェックが設けられている場合もあり、ある程度の質が担保されます。また企業ですので、納期も保証されます。
専門企業であれば数多くのライターを抱えているため、個人では難しいまとまった数の発注がしやすいです。セキュリティがしっかりしているのも専門業者の特徴です。
また、取り調べ文書などの法定提出書類、専門用語が飛び交う医薬・学術文書、外国語でのインタビューや翻訳など、特殊な文章に対応できる場合もあります。
デメリット
- 他の方法に比べ、料金が割高になりがち
- 料金体系がわかりにくかったり、追加料金が発生する場合がある
高い専門技術を有する分、割高になりがちなのが業者に頼むデメリットです。
さまざまな書き起こし方法やオプションを選べる分、料金体系がわかりにくくなってしまうこともあります。
個人のテープ起こしライターに依頼
「Lancers」や「Crowd Works」など、依頼したい企業と仕事を探しているフリーランサーのプラットフォームであるクラウドソーシングサービスを介し、個人で仕事をしているテープ起こしライターに依頼する方法です。
料金相場
- 要約:190 〜 260円 / 1分
- 素起こし・整文:150 〜 240円 / 1分
- ケバ取り:90 〜 200円 / 1分
これはあくまでLancersが提供している料金相場の目安であり、実際はもっと安価・高価になる場合もあります。
メリット
- 専門業者に依頼するのに比べ、速くて安価になる場合がある
- 小規模・単発の依頼がしやすい
- ライターを選べる
- ライターと直接やりとりできるため、細かいニュアンスを伝えやすい
募集に数日、納品までに数日かけることが多いクラウドソーシングを利用したテープ起こしの依頼ですが、「明日中の納品希望」などと特急の募集をかけることもできます。企業のように営業時間にとらわれず、24時間いつでも募集をかけることもできます。
「5分だけ」など小規模・単発の依頼もしやすいです。複数のライターから応募があり、より希望条件にマッチしたライターを発注側が選べるため、高い技術や専門性をもつライターにめぐ合えることもあります。
また、業者に頼んだ場合は窓口の担当者と実際に業務を行うライターが異なる場合も多いですが、個人への直接依頼なら実際の担当者と話せるため、細かい仕上げのニュアンスを伝えることもできます。
デメリット
- ライターの選定が大変
- ライターの力量にムラがある
- 納期を守ってもらえない場合がある
- セキュリティが甘い場合がある
デメリットとしては、ひとつの応募に複数のライターが応募してくるため、ライターの選定に日数や労力を割かなくてはなりません。
またテープ起こし初心者からベテランまで幅広いライターが数人〜数十人応募してくるため、選定も大変です。仕事に対する姿勢もさまざまで、納期が遅れたり、最悪、途中で連絡が取れなくなる場合もありえます。
また業者に比べてセキュリティが甘い場合もあり、信頼できるライターを見つけるには労力を要する場合が多いです。
自力でのテープ起こし
最後に、自力でのテープ起こしについて紹介します。
料金相場
- 無料(時給分のみ)
自分の耳で聞いて書き起こすため、誰かに料金を支払う必要はありません。
ただ自分で書き起こすには、テープ起こしに慣れたベテランでも音源の時間の3〜5倍、初心者なら10倍以上の時間がかかるといわれます。時給換算すれば専門業者に依頼するより割高になるケースもしばしばです。
メリット
- コストがかからない
- 情報漏洩の心配がない
- 精度の高い文章が書きやすい
自分でテープ起こしができれば、金銭のやりとりやライターの選定など、さまざまなコストをかけずに済みます。社内でテープ起こしができれば、社外秘の情報の漏洩リスクも減らせます。
また社内であれば、不明瞭な発言や単語があっても録音の現場にいた人に直接内容を尋ねることができるため、高い精度の文章を書きやすくなります。
デメリット
- 時間がかかる、面倒
「自分で文章を考える必要がないから、誰にでもできる仕事」と軽んじられやすいテープ起こしですが、実は専門技術が必要になる大変な仕事です。膨大な時間がかかりますし、面倒です。
テープ起こしAIの導入も検討を
テープ起こしの補助として、テープ起こしAIを利用する方法もあります。
クラウド文字起こしプラットフォーム「SACSCRIBE」は、mp3, mp4, wav, m4a, ogg, aac, amrなどの音源を登録すると、内容を自動でテープ起こししてくれるサービスです。
料金は初めてご利用になる方は1時間まで無料、超過すると35円/分になります。
多少手直しは必要になりますが、耳で聴きながら1から音源をテープ起こしするより遥かに楽になりますので、ぜひ検討してみてください。
テープ起こしサービスは料金や手間など、総合判断を
料金だけで言えば、最も低く抑えられるのは「自力でのテープ起こし」になります。しかし、かかる時間や人件費まで考えれば、専門業者やライターに委託した方が安上がりになるかもしれません。
自力でのテープ起こしを補助してくれるテープ起こしAIなどの利用も視野に入れ、料金と手間を総合判断してテープ起こしサービスを選ぶとよいでしょう。